パラサイトの伏線・考察。水石やポスターの足は誰のもの?

パラサイト

2020年度アカデミー賞・作品賞ほか最多4部門受賞受賞を受賞し、現在も人気の衰えを見せないポン・ジュノ監督の映画「パラサイト」。

監督の作り込まれた「伏線」への様々な考察も話題となっています。

この記事でも数ある「伏線」の中で、気になったものを6つ取り上げてみました。

是非、一緒に考察してみてください。

 

雨のあらわすもの

雨はこの映画の中で「良くない事が起きる」と予感させるものに見えます。

 

大雨が降ってしまったことで、キム家の家は水没してしまいました。

元家政婦とキム一家の争いも、雨にずぶぬれになった元家政婦が訪ねて来てはじまります。

そしてキャンプに行っていたはずのパク一家が大雨により豪邸に戻って来てしまいます。

大きなトラブルへの導入にはすべて雨が関係しています。

 

また、降った雨は高いところから低いところへと流れていく物理的な現象です。

高台の豪邸に住むパク一家が雨に悩まされるのはせいぜい「天気が悪い」という程度。

「雨が降れば空気が綺麗になるわ」なんて台詞まで言えるくらい、日常ですよね。

しかし、キム家は生活、命までかかってしまう。

 

同じ雨でも、立場によっては大きくとらえ方が違うのです。

一方には「恵みの雨」がもう一方では「無情の雨」になってしまいました。

この「格差」が「人の力ではどうしようもない力=雨」で表現されていると思われます。

生活の格差が気持ちの格差、意識の格差につながっています。

 

水石のもたらしたもの

水石というのは、中国発祥の古くからある文化で「盆の上に砂や石を置き、室内でも自然を感じ楽しむ」というもの。日本では盆栽でしょうか。日本の盆栽も非常に高価です。

美術工芸品に近いものです。

芸術というのはお金や余裕がある人にはなじみ深いものかもしれませんが、生きるのに精いっぱいな人には余計なものでしかありません。

「お腹の足しにはならない」ものです。父ギテクも母も食べ物でない事にがっかりしますしね。

 

キム家の兄ギウは「水石」を恵まれている友人ミニョクから貰います。

ミニョクはギウが受験に成功するお守りとして親切心でくれたのですが、ギウは羨望の対象であるミニョクに貰ったものゆえに「まぶしい希望・未来」だったのではないでしょうか。

ギウもミニョクのような生活を送りたい、いっそミニョクに成り代わってやろうと考えて「パラサイト計画」を立てることになったのですから。

この段階ではギウはとても大切にしています。

でも、大雨により浸水した家の中で、その大切な水石は「浮いた」(ように見えた)のです。

水石がもたらした希望的計画が流れてしまう予感すらします。

 

そして最後ギウは退院して川に水石を置きますが、それも計画は終了(完了ではなく)してしまった、失敗に終わったというギウの気持ちの表れです。

 

水石は「室内で楽しむ作られた自然」です。

パク家もソファでの夫婦のエロシーンが象徴しているように「中身は人間」だし、キム家などは最初から「偽物」の人間を演じていたのですから、ギウの虚しさははかり知れません。

水石がギウの中で占めている位置がどんどん変わっていきます。まさにギウの心象風景を現すものが水石なのです。

 

住居に見る格差

「半地下」は今は日本では「ちょっとお洒落なスペース」のようになってカフェになったりしていますね。

韓国ではそうではなかったようです。中から外が見えるお洒落さではなく、下手をすると外から中の生活が見えてしまう。足元にあるから見えないとも言えますが。

 

さらには、光もあまり入らない、窓も小さい、風も通らない。

自然は窓から見える雑草程度。立ちションをする人までいました。

ということは、人が住んでいるとは思ってない、「え?住んでるの?」と思うような場所ということになります。

 

さらには、豪邸のパク家には「全地下」にもあたる「知られていない空間」があって、そこに住んでいる人がいました。

元家政婦の夫グンセです。キム家も半地下ではあったものの、多少は収入もあるし窓もあります。

 

パク家の豪邸、半地下のキム家、全地下のグンセ。

格差が3段階であったことがわかります。

 

窓も大きく、明るく家の敷地内に自然がたっぷりあって、日光浴も楽しめるというパク家。

トイレが自分の目線にあって、小さい窓のキム家。

自然とは隔絶され、日光も当たらないグンセ。ほぼ独房ですよね。

下へ行くほど、日光など自然率が下がるほど、下層と考えられます。

 

足はだれのもの

ポスターに室内の全員集合写真のようなものと、豪邸の広い芝生の庭で撮影されたらしいものに「足」が映っていました。

両方女性ですが、不気味ですよね。白い足。

 

全員集合の写真のほうに写っていない女性、それは前家政婦です。桃アレルギーで追い出されたムングァンです。彼女はこっそり隠れ住んでいる夫の食事を「自分の分」としていました。そのためパク家には「2人分食事を食べる」と言われていました。

桃アレルギーなだけなのに「結核だ」と言われ追い出されました。

 

キム家の秘密を知り、パク家に告げ口をしようとして、キム一家と争い、最終的には階段から蹴り落とされてしまったのが原因で死んでしまいます。

おそらく家の中で死んだ「元家政婦」の足を、ちらりとうつして「ホラーテイスト」を示しているのでしょう。

 

豪邸の芝生のポスターに出ている足は、最後の場面で刺されて死んでしまったキム家の娘のギジョンです。

どちらのポスターでも「人の死(死人の足)」を暗示しています。

パク家の奥様は整形しているのか

これは全く個人的な推測でしかありませんが、もしかするとキム家の美人奥様ヨンギョは整形ではないかと思います。

整形は贅沢ですよね、当然ながら。半地下の女性にその形跡はありません(失礼な)。

 

ヨンギョはアメリカかぶれっぽい部分があって「ヤング&シンプル」とやたら言います。若く美しくあることは彼女の「善」なのでしょう。

大袈裟な整形ではないかもしれませんけれど「若返り」をしているかもしれません。

 

キム家の娘ダヘも整形の可能性が無きにしもあらず。

母親から愛されていないという実感からなのか、彼女は影が薄いです。

自信の無さがうかがえます。

キム家の妹ギジョンはアジア系の顔をしています。好みはありますが、ダヘもとても可愛らしい顔をしているのもかかわらず、ギジョンに嫌味ったらしく「きれい」というあたりからの考察です。

 

パラサイトの計画は半地下の息子と娘

 

キム家の父と母は「事業に失敗」してしまって、半地下に住むことになります。

確かに職業を得ることは難しい背景もあるかとは思います。

ただ、未来へのビジョンが無くて、夫婦はピザの箱を作る内職をしているうように見えます。2人とも本気を出していれば、それなりに職を得られそうです。特に母親はハンマー投げのメダリスト。力仕事などでもできないことはないでしょう。

「この半地下でもういいかな」とあきらめているようにしか見えません。

 

さらには、父親のギテクは「あきらめている自分を嫌っている」と思うのです。

ですから、パク家の社長が「臭い」と言ったことが「凶行へのスイッチ」となったのではないでしょうか。

「好きでこんな生活になったのではないんだ」という社会への苛立ちまでもが含まれていたと考えられます。「他人のせいにしてしまっている」とも言えますね。

 

ギテクは息子のギウに

「失敗しないためには計画をたてないこと」

と言い切るわりには他人にはやたら「計画はあるのか」と聞きます。

 

彼自身は計画して実行したことが悉く潰れてしまったこと、その結果が半地下だった。

ピザの箱を上手く作れていなかったのもギテクだけ。見通しと詰めが甘いのでしょう。

 

ですから「パラサイト計画」は息子ギウと娘ギジョン、母は口出しをしない様子ですから2人で立てたのでしょう。スタートさせたもはギウですけれどね。

パク家に潜入しようとした時に名前をケビンとジェシカと名乗り、ハーフと嘘を言っているのもアメリカかぶれの奥様に取り入るためでしょうし、下調べにぬかりはありません。

このような「細かいキャラ設定」は父ギテクには出来そうもありません。

 

まとめ

この「パラサイト」という映画、考察できるところが、まだまだ沢山あります。

「水石」ひとつを取ってみても、実は誰が主役だったのか、誰の目線で撮影されていた映画なのか、まで考えることもできます。

深く考えると、韓国の移り変わり、経済事情の変化、独自の文化などまで見えてきますね。

他国の日常を深く掘り下げる機会はなかなかありません。

映画を通じて今まで目を向ける事が無かった事を知っていくのも楽しみ方のひとつではないでしょうか。

他の伏線についても考えてみて、面白いものがあったら、是非教えてください。

 

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